【質問】新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。
【お答え】前回は東室蘭駅を例に、乗換待ち時間短縮の重要性をご紹介しましたが、引き続き、新幹線に接続するリレー列車について想定される課題を記します。
先ごろJR各社より東北新幹線新青森開業時の時刻表が発表され、新青森駅で新幹線と接続し函館とを結ぶ特急スーパー白鳥・白鳥の運行ダイヤも明らかとなりました。新ダイヤでは、新幹線と接続する便が増加し、盛岡・仙台始発便利用者の函館滞在可能時間が拡大する反面、現在八戸駅での新幹線乗換待ち時間平均が13分であるのに対し、新青森駅での乗換待ち時間平均が15分と現在より長くなってしまい、最も待ち時間の長い便は32分を要するものも見られます。
上記から読み取れるのは、新幹線開業で東京・新青森間は大幅な時間短縮が実現(開業前後の最速列車の比較で▲39分)できたにもかかわらず、函館側はリレー列車が持つ様々な制約によって、時間短縮幅が小さい(同、▲14分)という点です。新青森乗換の場合は、同駅の前後が単線区間であることに加え、青森駅で進行方向が逆になることや路線が複雑に分岐していることなどの制約が関係していると想定されます。
リレー列車の使命は新幹線など高速交通機関に円滑に接続することであり、いわば脇役とも言えます。この場合、主役の新幹線に合わせた運行形態を取らざるを得ないため、リレー列車側は自ずと様々な制約条件を持つこととなります。新函館・函館間のリレー列車の場合も、新函館をはさんだ七飯・大沼間13.2kmが単線であることから、函館方面も札幌方面も、列車行き違い待機などの調整時間が生じると見込まれ、円滑な接続を阻害する要因となることが想定されます。
また、リレー列車の車両も、主役の新幹線に合わせた編成導入が必要で、新幹線が何両編成で何往復し、発着間隔がどれくらいか、ということがわからなければ、運行体制も定まりません。こうしたことからも、リレー列車は新幹線を運行する事業者が一体的に運行することが最も望ましいと言えるのです。
【2010.11.12追記】11月11日にJR東日本が発表した、E5系はやぶさ運行開始に伴う2011年3月5日からの時刻表では、新青森駅での函館方面特急乗換待ち時間平均は13分で八戸乗換時と同水準におさまり、最も待ち時間の長い便は22分となっています。