北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

‘新函館北斗開業Q&A’ 分野の情報一覧

【質問】新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。

【お答え】前回は東室蘭駅を例に、乗換待ち時間短縮の重要性をご紹介しましたが、引き続き、新幹線に接続するリレー列車について想定される課題を記します。

 先ごろJR各社より東北新幹線新青森開業時の時刻表が発表され、新青森駅で新幹線と接続し函館とを結ぶ特急スーパー白鳥・白鳥の運行ダイヤも明らかとなりました。新ダイヤでは、新幹線と接続する便が増加し、盛岡・仙台始発便利用者の函館滞在可能時間が拡大する反面、現在八戸駅での新幹線乗換待ち時間平均が13分であるのに対し、新青森駅での乗換待ち時間平均が15分と現在より長くなってしまい、最も待ち時間の長い便は32分を要するものも見られます。

 上記から読み取れるのは、新幹線開業で東京・新青森間は大幅な時間短縮が実現(開業前後の最速列車の比較で▲39分)できたにもかかわらず、函館側はリレー列車が持つ様々な制約によって、時間短縮幅が小さい(同、▲14分)という点です。新青森乗換の場合は、同駅の前後が単線区間であることに加え、青森駅で進行方向が逆になることや路線が複雑に分岐していることなどの制約が関係していると想定されます。

 リレー列車の使命は新幹線など高速交通機関に円滑に接続することであり、いわば脇役とも言えます。この場合、主役の新幹線に合わせた運行形態を取らざるを得ないため、リレー列車側は自ずと様々な制約条件を持つこととなります。新函館・函館間のリレー列車の場合も、新函館をはさんだ七飯・大沼間13.2kmが単線であることから、函館方面も札幌方面も、列車行き違い待機などの調整時間が生じると見込まれ、円滑な接続を阻害する要因となることが想定されます。

 また、リレー列車の車両も、主役の新幹線に合わせた編成導入が必要で、新幹線が何両編成で何往復し、発着間隔がどれくらいか、ということがわからなければ、運行体制も定まりません。こうしたことからも、リレー列車は新幹線を運行する事業者が一体的に運行することが最も望ましいと言えるのです。

【2010.11.12追記】11月11日にJR東日本が発表した、E5系はやぶさ運行開始に伴う2011年3月5日からの時刻表では、新青森駅での函館方面特急乗換待ち時間平均は13分で八戸乗換時と同水準におさまり、最も待ち時間の長い便は22分となっています。


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【質問】新函館駅と函館駅の間にはリレー列車の運行が予定されていると言われていますが、リレー列車とはどのようなものなのか具体的に教えて下さい。

【お答え】リレー列車とは一般的に、新幹線などとスムーズに接続して運行される在来線列車のことです。なかでも理想形とされているのが、現在九州新幹線のリレー列車として運行されている特急「リレーつばめ」であり、新幹線と在来線の乗換駅である新八代駅では、同一ホーム対面乗換によって新幹線と在来線の間は僅か3分程度で乗り継ぎできるようになっています。利用者利便の高いこの方式の導入が新函館駅においても期待されていますが、現状ではまだ整備方針が明らかになっていません。

 対面乗換方式を新函館駅に導入する上での障壁の一つは、函館方面・本州方面・札幌方面と3方向への乗換を考慮しなくてはならないという点です。設備上の制約もさることながら、運行ダイヤの調整が利用者利便に基づくものにできるかどうかも問われます。

 3方向の乗換の具体例として、東室蘭のケースを見てみます。室蘭─東室蘭間は普通列車のみが運行され、東室蘭で特急列車と接続しているのですが、東室蘭での乗換の待ち時間は、函館方面と札幌方面では大きな格差があります。特急スーパ北斗・北斗との接続時間を時刻表で見ると、札幌方面との乗換待ち時間は平均(上下21本)約13分なのに対し、函館方面との乗換待ち時間は平均(上下22本)約25分と、2倍の差があることがわかります。

 この室蘭の事例からいえるのは、乗換待ち時間の重要性です。特に、特急を下車した客が室蘭方面に向かう場合、乗換待ち時間が目的地への所要時間以上にかかるようでは、乗客は別の交通手段を選択することとなります。運行事業者はもちろん地域においても、このことは人の流れに関わる重要な問題として捉え、利用者本位でリレー列車のあり方を考えることが求められます。

(待ち時間等は2010年11月時点の運行ダイヤに基づくものです)


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【質問】函館ではJR経営継続署名活動の呼びかけが盛んですが、並行在来線とはそもそも何なのか、どうやって決めるのか、よくわかりません。

【お答え】並行在来線の定義は法律等に規定されたものはなく、平成8年5月の政府与党ヒアリング時における旧運輸省見解(コメント)しか公式なものは存在しません。それによれば「新幹線の開業により特急列車が新幹線に移る線」(特急列車の収益が新幹線に移転することで損益が悪化する路線)をさすのですが、問題なのは、指針がこれしかないために、立場によって都合良く解釈できてしまい、その結果、並行在来線の対象区間とは事実上JRの判断により指定されるものとなっていることです。

 しかしながら、並行在来線の対象区間がイコール経営分離区間かといえば、そうではありません。経営分離区間の決め方については、平成8年の政府与党合意書に「沿線地方公共団体及びJRの同意を得て確定する」と規定されています。つまり現時点では、JRが並行在来線の表明はしたけれども、函館市が新函館・現函館間については並行在来線と認めておらず、双方の同意が得られていない状態にあるといえます。

 函館市は、この問題が惹起して以降一貫して、新函館・現函館間は新幹線が走るわけでもなく、地図上も新幹線と並行していないことから並行在来線にあたらない、という見解を主張しています。

 この見解を客観的に検証するため、全国幹線旅客純流動調査を基に、現在の鉄道旅客流動実態から札幌延伸後の新函館・現函館間の流動見込を示したものが下図ですが、これをみても、同区間が「特急列車の旅客が新幹線に移り、収益性が悪化する」という並行在来線の定義にあてはまらないことは明白です。
 これらのことからも、同区間はそもそも並行在来線ではないという前提を崩さず、地域一丸となって引き続きJRによる経営継続を求めてまいります。


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【質問】新聞等では北海道新幹線の札幌延伸に伴う並行在来線の経営分離問題が盛んに取り上げられていますが、現時点では何が問題なのですか。

【お答え】政府は平成22年度新幹線予算のうち90億円を新規区間着工分(新函館・札幌、金沢・敦賀、諫早・長崎の3区間)として留保し、その着工について、今年9月までに結論を出すと表明しています。また実際に新幹線の工事着工のためには、並行在来線としてJRが経営分離を指定した区間の沿線自治体が、その経営分離に同意する必要があります。

北海道新幹線札幌延伸に伴う経営分離区間については、今年3月、JR北海道が文書資料として初めて分離区間を現在の函館駅─小樽駅間と明記し、函館市として重要な新幹線接続路線である現函館駅─新函館駅(現渡島大野駅)間17.9km(以下「同区間」と表記)を含んでいることが明らかとなりました。

現時点において重大な問題なのは、同区間について、北海道からも代替の鉄道輸送の方針が全く示されていないため、同区間に旅客鉄道が運行される保証が全くないということであり、JRの経営分離表明はすなわち現時点では「鉄道や駅の廃止」を意味しています。

函館市ではこの問題を受け、新函館駅の場所が決められた際の協議さらにそれ以降の経緯等をふまえ、同区間を引き続きJR北海道に運営して貰うよう、北海道とJR北海道に要請し、現状では経営分離に同意できないとの考え方を示しています。函館市議会も同区間をJRが引き続き経営するよう全会一致で決議し、6月2日に関係機関へ要請を行いました。

函館商工会議所では函館市より経緯説明を受け、地域の重要課題として一体となって取り組む方針を確認しており、今後は諸情勢の進展に合わせ函館市と緊密に協議・連携し対応していくこととしています。
(記載内容は2010年6月2日時点のものです)


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【質問】「青函トンネル内は新幹線と貨物列車がすれ違うことから、安全確保のため今と同じ制限速度140kmにする必要がある」と新聞に書いてありましたが、これでは多額の国費を投じて整備する新幹線の効果を国自体が潰してしまっているような気がするのですが。

【お答え】2月12日付北海道新聞ほか数紙で報じられたとおり、この問題は2月9日開催の政府整備新幹線問題調整会議での「トンネル内ですれ違う際は風圧等による貨物列車の脱線やコンテナ落下の懸念があり、速度規制が必要」という国土交通省の見解です。この問題を解決するためにJR北海道では「トレイン・オン・トレイン」という技術の実用化を目指していますが、新函館開業時の実用化は難しいともされています。
 国交省の考え方に基づけば、青函トンネルの前後にも多くの小トンネルがあることから、速度規制は新幹線と在来線の共用区間82kmに対して設定されると見込まれます。この場合、青森駅・函館駅間で比較すると、下図の通り新幹線開業による時間短縮効果はわずか14分ということになってしまいます。
 安全確保のための規制は必要な措置ではありますが、まず規制ありきではなく、関係機関には前向きな検討を期待したいところです。現在共用区間の最高速度は140kmですが、同区間はATCという運転システムが採用されており、最高速度160kmも事実上可能とされているため、新幹線開業までに在来線の最高速度を段階的に向上させながらすれ違い時の安全確保策を講じることも可能と思われます。引き続き関係機関が英知と技術力を結集させ、早期に対策が図られるよう、地元からもアピールをしていきます。


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【質問】新聞で「第4回北海道新幹線地域活性化フォーラム」が開催され、函館駅から新函館駅までの交通アクセスについての講演があったと報道されていましたが、どのような内容だったのでしょうか。

【お答え】2010年1月13日開催の第4回フォーラムの講演会には2名の講師をお招きしましたが、ご指摘のお話は北海道大学大学院工学研究科で交通工学等がご専門の岸邦宏准教授の講演です。岸先生からは、国土交通省が定期的に実施している「航空旅客動態調査」の直近の結果から、まず函館空港の利用実績について説明がありました。

 岸先生の分析によると、函館空港利用客の割合は函館地域居住者(以下、市民と表記)が3割で、残り7割は本州などの居住者(以下、来訪者と表記)であること、「函館空港から出発する人」が街から函館空港に向かう交通手段に公共交通を利用する人は市民のうち4割、来訪者のうち7割であること、「函館空港に到着した人」が目的地へ向かう交通手段に公共交通を利用する人は市民のうち3割、来訪者のうち7割であることが報告されました。こうした結果から、街との空港とのアクセスについて市民は自家用車利用が主体であり、来訪者にとっては公共交通の充実が不可欠との指摘がありました。

 その上で新函館駅までの交通アクセスについては、函館空港と同様の利用実態を想定すると、利用客の多くを占める来訪者の利便確保が大切であるとし、重要なポイントとして、(1)(現函館駅からの)所要時間が短いこと、(2)定時性が高いこと、(3)接続時間が短いこと、の3つを挙げ、新函館駅での対面乗換ホームの必要性や新幹線と在来線がスムーズに接続できる運行ダイヤが求められるとしました。また札幌延伸についても触れ、札幌延伸時においても新函館駅での対面乗換が維持されることが望ましいとの意見がありました。
 なお、岸先生の講演資料等をご希望される方は事務局までお問い合わせ下さい


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【質問】北海道新幹線開業後は観光客が増えて地域活性化になるなどと聞きますが、不景気ですし国内の人口減少や高齢化も進むし、そううまくいくとは思えません。

【お答え】ご指摘の通り、私たち市民が何もせずにいるのでは観光客など増えようもなく、まず第一に市民一人一人がおもてなしの心を高め、観光客に楽しんで頂けるまちづくりを進めることが最前提です。それを踏まえた上で、「提供座席数」という物理的な観点から新幹線開業後の観光動向を以下に検証してみます。
提供座席数とは、飛行機や列車の定員から算出される最大の輸送人数のことです。対首都圏で算定すると、現状では羽田―函館の飛行機が年間往復163万人※1、青森―函館の特急列車が年間往復262万人※2で、対本州・首都圏は合計425万人(片道213万人)であり、現状ではどんなに頑張っても年間213万人以上の観光客を連れてくることが出来ないということになります。

これが、新幹線が開業した場合はどうなるでしょうか。現在の八戸と同じ16往復が運行されると仮定した場合、新幹線の提供座席数は年間往復951万人※3、片道476万人にもなるのです。

具体例を挙げますと、JR東日本ではシニア会員向けに、同管内と函館等が3日間乗り放題の「大人の休日倶楽部会員パス」を年4回発売しており、適用期間中は青函間の特急列車指定席が連日満席となって、函館行きを断念せざるを得ないお客様が多数生じます。新幹線が開業して提供座席数が拡大されると機会損失を防ぐこととなり、多くのお客様をお迎え出来るようになります。このように物理的観点では、新幹線開業は確実に観光客を増やす土台となりうるのです。
函館は2009年、魅力ある市町村の第一位となりました。潜在的な観光需要を掘り起こしていくうえでも、新幹線開業は大きな可能性を持っていると言えます。

※1 函館市まとめ、H20年実績  ※2 夜行除く特急の標準編成(6両)定員から算出 ※3 標準編成(10両)定員から算出

(写真)2009年9月6日付函館新聞 「大人の休日倶楽部」適用期間は青森・八戸方面の大半が満席siteiseki


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【質問】北海道新幹線開業後は、新函館駅と函館駅の間はリレー列車が運行される予定だと聞きましたが、所要時間は何分くらいになるのでしょうか。DC40300

 
【お答え】当方がとりまとめた「北海道新幹線開業はこだて活性化アクションプラン」では「新函館駅・現函館駅間の鉄道アクセスの充実」を重点取組項目に位置付けています。

 渡島大野(新函館)―函館駅区間は現在、昭和50年代に製造されたディーゼルカーによって運行されており、所要時間も24分から30分程度を要しています。現在の車両では、冷房がないなど設備も古く、動力性能も低いため所要時間の短縮が見込めないことから、このまま新幹線開業を迎えると、市内から新函館までの自家用車利用者との競合に不利であるばかりか、新幹線の時間短縮メリットを活かせずに、航空機利用者の転換を見込むこともできなくなります。そのため、函館方面リレー列車の運行改善は、地域の新幹線開業効果を高める上でも重要な課題と言えます。

731300 そこで同区間と同等の距離17.9kmを要する他地区の現状を参考にすると、JR北海道札幌から野幌駅の区間では、快速列車(途中2駅停車)はわずか15分、各駅停車(途中5駅停車)でも20分程度で運行されていることから、新函館―函館駅区間も新型車両の導入や軌道設備の改善によって時間短縮を図り、20分以内での運行を実現出来ると見込まれます。
 同区間のリレー列車の運行計画については、現時点では事業主体であるJR北海道の意向は伝えられていませんが、利用者にとって大きなメリットであり地域としても高い経済効果が得られる鉄道アクセスの改善については、沿線自治体等と連携を図りながら関係事業者への要望活動を展開していくこととしています。

(写真上)函館地区で運転されている普通列車

(写真下)札幌近郊で高速運転されている普通列車


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