北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

‘新函館北斗開業Q&A’ 分野の情報一覧

【質問】(前回に引き続き)先般、北陸新幹線では特急料金の認可申請があったとのことで、北海道新幹線がどうなるかも気になります。

 

【お答え】前回までは北陸新幹線の事例から、航空や他の新幹線区間との特急料金との比較など、長距離的な課題を紹介しました。今回は、近距離における料金面の課題について、青森を例に説明します。

青森・函館間は1908年の国鉄青函連絡船就航以来、本州と北海道の大動脈として、最盛期の1973年(昭和48)には499万人が利用しました。この頃からの同区間の運賃推移をみると(下表)翌1974年の片道運賃は500円で、その後インフレによる値上げ、国鉄民営化を経て1988年(昭和63)3月の連絡船最終運航時は同2,000円、同日開業の津軽海峡線は同2,800円でした。

1989年(平成元)以降は消費税導入等による値上げと、青函間の往復割引切符(自由席)販売が開始され、2002年(平成14)以降は往復5,500円でしたが、2013年(平成25)に弘前まで範囲拡大され往復6,800円となり、2014年(平成26)の消費税増税を経て、現在青森・函館間片道運賃は3,240円、「青森・弘前フリーきっぷ自由席往復用」は6,990円となっています。

2002年以降、青函トンネル区間には普通列車の運行がなく、青函間のJR移動には特急料金が必要です。特例として蟹田・木古内間では、前後を普通列車と乗り継いで利用する場合に限り特急列車に特急料金不要で乗車できますが、新幹線開業後もこの特例が存続されるかどうかと、特例に基づく「青春18きっぷ」の利用可否は現時点で不明です。また、現在の青函間特急には自由席がありますが、東京・新青森間を運行する新幹線には自由席がなく、北海道新幹線に自由席が設定されるかどうか、在来線と同じ時速140km/hの青函トンネル区間に新幹線用の特急料金が設定されるのか、本州方面との往復割引切符は存続されるのかなど、新幹線開業に関する料金面の課題が多く残されています。

北海道新幹線の特急料金は今年末に発表の見込みですが、それによって近距離利用の費用が増大し津軽海峡圏の経済交流促進の妨げとならぬよう、引き続き注視しながら関係先への要請等を進めて参ります。
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【質問】(前回に引き続き)先般、北陸新幹線では特急料金の認可申請があったとのことで、北海道新幹線がどうなるかも気になります。

 

【お答え】前回は、JR東日本・西日本が10月に国土交通省へ北陸新幹線特急料金の認可申請を行った際、両社の営業区域をまたぐ乗車の場合は特急料金を距離通算せず、東海道・山陽新幹線等と異なる割高な料金体系で申請したことに触れました。翌11月には、史上初めて新幹線特急料金に関する公聴会を国交省運輸審議会が開催することとなり、公募で当選した市民がJRの申請料金に対し賛成と反対の立場でそれぞれ意見陳述を行いました。その結果、去る12月16日に国交省より、申請料金は妥当であるとして申請通り認可されることが決まり、北陸新幹線の料金体系が確定しました。

公聴会を開いた運輸審議会は、特急料金は申請通りの認可が妥当だと国交省に答申した書面のなかで、その理由として、新幹線運行についてJR東日本・西日本から提示された総括原価735億円に対し収入が642億円で赤字が93億円と見込まれていることに触れ、「総収入が適正な総括原価を超えるものではない」と述べています。また、これと合わせ国交省への要望事項として「各種割引や宿泊切符など、両社の共同企画商品の設定に努め、利用者の利便性・快適性を一層向上させること」と「複数の鉄道会社の営業区間を跨って乗車する場合の新幹線の特別急行料金について、平成27年度には北海道新幹線の開業が予定されていることから、既存の料金との整合、路線の特性等を踏まえて適切に設定されるよう、設定方法等について検討・整理していただきたい」と記載しており、前回本欄で指摘した北海道新幹線に関する問題点については審議会も国交省も認知していることが伺えます。

北陸新幹線特急料金の申請認可を受けて、新幹線の競合路線を有する航空各社では相次ぎ運賃値下げを発表し、新幹線運賃を下回る価格も設定されました(表参照)。このように、北海道新幹線の料金設定も航空運賃の設定に影響を与えることが予想され、割高感のない料金体系で申請・認可されるよう、引き続き注視する必要があります。

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【質問】先般、北陸新幹線では特急料金の認可申請があったとのことで、北海道新幹線がどうなるかも気になります。

 

【お答え】2015年3月14日に開業する北陸新幹線は、10月3日にJR東日本・西日本が国土交通省へ特急料金の認可申請を行っています。今回の申請で注目されるのは、両社の営業区域をまたぐ乗車の場合に、特急料金が距離通算されない算定方法となっている点です。

新幹線や在来線特急はこれまで、JRの会社境界をまたいで直通運転される便、例えば東海道・山陽新幹線(JR東海と西日本)などは、発地から着地までの特急料金は距離通算されていました。しかし2011年3月開業の九州新幹線(JR九州)は、直通する山陽新幹線(JR西日本)と距離通算しない方法となり、直通する旅客にとっては博多駅を境に割高な料金設定となりました。

【九州新幹線を含む区間とその他区間の特急料金比較】
新神戸(JR西)―鹿児島中央(JR九州) 874km 9,810円
東京(JR東海)―広島(JR西日本)※  894km 6,900円
※比較のためひかり号料金適用    差 2,910円

そして今回北陸新幹線で申請されている特急料金を他の新幹線区間と比較すると、やはり割高な設定となっていることがわかります。

【北陸新幹線を含む区間とその他区間の特急料金比較】
東京(JR東日本)―金沢(JR西日本) 450km 6,780円
東京(JR東日本)―一ノ関(JR東日本)445km 5,480円
浜松(JR東海)―岡山(JR西日本)  476km 5,060円
※JR東日本は東京駅乗入加算210円を含む

これらのことから、今後は北海道新幹線の特急料金がどうなるかに関心が集まります。現在、東北新幹線と津軽海峡線・函館本線特急を乗り継ぐ際は在来線特急料金に乗継割引が適用されますが、北海道新幹線は新青森駅がJR東日本とJR北海道の会社境界となり、九州や北陸のように距離通算が適用されない場合、現在の特急料金と比較して値上げ幅がとても高くなる懸念があります。また、在来線と同じ時速140km運行となる青函トンネル共用区間を含むため、新幹線特急料金の対価として妥当な設定がされるかどうかもポイントとなります。

九州や北陸のように、旧国鉄の分割民営化で生じた会社境界のために割高に設定された料金によって利用者の負担が増えるのは、残念なことです。北陸では国交省運輸審議会が、初めて新幹線特急料金に関する公聴会を11月13日金沢市で開催予定であり、市民の声が認可決定にどう反映されるか、今後の動向が注目されます。


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【質問】新幹線にはインターネット等を利用した割引サービスがあるようですが、北海道新幹線ではサービスが提供されるのでしょうか。

 

【お答え】ご指摘のサービスは、JR東日本では「えきねっとトクだ値」や「モバイルスイカ特急券(モバトク)」、JR東海では「EXPRESS予約」「EX-ICサービス」などの名称で提供されており、切符を窓口で購入するのと比べ割引で購入できることが主なメリットとなっています。北海道新幹線の運行主体はJR北海道であり、同社でも既にインターネット予約サービスが提供されていますが、現時点では割引購入制度はなく、新幹線開業時にJR他社のような割引サービスが提供されるかどうかは現時点では発表されていません。

参考として、開業日が2015年3月14日に決まった北陸新幹線は、東京・上越妙高間がJR東日本、上越妙高・金沢間がJR西日本の管轄ですが、7月24日に共同通信社が全国の加盟社に配信した記事によると、JR東日本では北陸新幹線金沢開業に合わせてIC乗車券「スイカ」と「モバイルスイカ特急券」の導入を検討し、JR西日本と協議中だと報じています。この事例が北海道新幹線にも当てはまるとすれば、JR東日本の同サービスがJR北海道との協議を経て北海道新幹線開業時にも適用される可能性があるとみることもできます。

これらサービスの利用者にとっての利点は割引価格と予約手続きの自在さ、ポイント制度等にありますが、逆に、インターネット利用に不慣れな人は割引メリットを享受できないということにもなります。東北新幹線新青森開業の際は、青森発の東京往復割引きっぷが週末利用のみにサービス縮小され、かわりにインターネット割引購入サービスを利用するようJR東日本からアナウンスされましたが、地元紙の東奥日報は2010年11月8日付記事で、青森県はインターネット普及率が全国最下位(当時)であることに触れ、「ネット利用の低迷が、県民の旅費節約の足を引っ張りかねない」と報じています。また、函館駅から新函館北斗を経て新幹線で東京駅まで乗車する場合、窓口購入の切符では、乗車券は在来線と新幹線を通算した額となりますが、IC乗車券によるチケットレスサービスでは、在来線と新幹線の乗り継ぎの際に、在来線の新函館北斗・函館駅間は別途初乗り運賃が生じることとなります。

このように、インターネットやチケットレス割引サービスは特定の利用条件においてはメリットの高い仕組みと言えますが、一方でルールが複雑でもあることから、引き続き幅広い利用者層が購入できるよう、既存の割引企画きっぷの販売継続について、関係機関とともにJR北海道へ要請を行ってまいります。


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【質問】北海道新幹線が開業すると、普通列車乗り放題の「青春18きっぷ」で本州と北海道の行き来ができなくなるのではと心配です。

 

【お答え】「青春18きっぷ」は、毎年春、夏、冬の3回発売される、全国のJR在来線普通列車が期間内の5日間(または5回)乗り放題のきっぷです。11,850円という安さから、かつては若者が安く旅行する手段として人気を博し、最近では時間にゆとりのあるシニア層にも支持されており、長距離移動するほどお得感が高まるため、北海道旅行へも多く利用されています。

 同きっぷは、新幹線および新幹線開業によってJRから経営分離された第三セクター鉄道は乗車できず、あくまでJR在来線の普通列車しか乗車できないルールですが、普通列車が運行されていない特急列車のみの区間は、特例として特急列車に乗車できます。その区間の一つが津軽海峡線の蟹田・木古内間で、同区間は蟹田駅と木古内駅で普通列車と乗り継いで利用する場合に限り、特急列車に乗車することができます。

 ところが、北海道新幹線開業後は奥津軽いまべつ・木古内間を走る旅客列車が新幹線のみとなり、同きっぷでは新幹線は利用できないことから、同きっぷに新たな特例が設けられない限り、本州と北海道の行き来ができなくなってしまいます。

 また、仮に特例が設けられたとしても、木古内・五稜郭間はJRから経営分離され第三セクター鉄道となるため、同きっぷで同区間を利用できない心配も残ります。先例として、JRから経営分離された青い森鉄道によってJR大湊線・JR八戸線が分断され、他のJR区間と連続しない路線になったため、青い森鉄道区間を通過利用する場合に限って乗車できる特例が設けられましたが、この特例が木古内・五稜郭間にも適用されるかどうかは不明です。加えて、平成27年春の北陸新幹線開業の際に、JRから経営分離される並行在来線の延長が254.9kmにも及ぶことから、JR在来線だけを対象とする同きっぷそのものの意義が薄まってしまうのではとの懸念もあります。

 このように、同きっぷに関しては2つの問題があり、利用者視点からはぜひ解決を図って欲しいものですが、平成26年7月時点では、北海道新幹線開業後の同きっぷの扱いについて、JRグループからの発表は行われていません。新幹線によるスピーディな移動とは趣旨が異なる、国内旅行を安価に実現できる同きっぷのサービス維持策が期待されます。


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【質問】東京・新函館北斗間を新幹線開業時に3時間台で運行させることについての報道が多くなされていますが、「4時間の壁」にこだわるのはなぜですか。

 

【お答え】北海道新幹線における青函共用走行区間の減速問題や高速化方策については、これまでも本欄において何度か触れてきましたが、関連する取り組みが活発化しメディアでの報道も増えてきたことから、あらためてご説明いたします。

目的地までの交通手段を選ぶ要素は、運賃、所要時間、乗換回数、サービス内容など様々ありますが、新幹線と空路の選択において大きな要素となっているのが所要時間で、その選択分岐点が「4時間の壁」といわれるものです。東京対東北地方、中国地方の交通手段選択シェアが実際にそのことを証明しています。

函館・道南にとっては、平成17年の新幹線着工の際、東京・新函館間最速4時間以内を前提として着工され、実現されるのが当然として認識されてきたため、その後惹起した青函共用走行区間の減速問題については、失望感が強いものとなっています。

そして「4時間の壁」は、函館・道南以外の視点では、問題意識がまだ低いものであり、それぞれの組織、立場によって思惑が微妙に異なる問題であります。函館・道南から見ると、所要時間次第で新幹線の旅客流動が減少することは観光誘客や経済波及獲得の上で死活問題なのですが、札幌・道央の視点では高速化よりも早期の札幌延伸、青函共用走行区間に多額の新幹線建設費を投じている青森県の視点では同区間減速問題の抜本解決、JRの視点では貨物列車と新幹線の安全確保が最優先、など、同じ高速化を望む立場でも、「4時間の壁」問題を主張できる立場にあるのは函館・道南だけであり、世間にわかりやすく説明するために用いられている言葉ともいえます。

新幹線高速化については、昨年春と今年春、JR東日本が盛岡以北の整備新幹線区間(最高速度260km/h)において高速化試験を行っているほか、国が平成30年春に1往復のみ予定としていた青函共用走行区間高速化についても、ダイヤ調整によって平成28年3月新函館北斗開業時に3時間台の運行実現を目指すと与党整備新幹線PTが今回打ち出したことによって一歩前進したところではありますが、引き続き共用走行区間の抜本解決による北海道新幹線全便の高速化に向けて、関係者が思惑の違いを克服し、一体となった取り組みが求められます。


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【質問】少し前に北陸新幹線開業2年前のスケジュールが掲載されていましたが、わかる範囲で北海道新幹線の予定も教えて下さい。

 

【お答え】北陸新幹線の事例は平成26年4月の当欄記事で紹介しましたが、今回は公表済の北海道新幹線新函館開業スケジュールを一覧表にまとめました。

5月2日に発表されたJR北海道プレスリリースでは、今年10月から在来線区間の新中小国信号場・木古内駅間で新型機関車を用いた運行試験、12月からは新幹線車両を用いた奥津軽いまべつ・新函館北斗駅間の運行試験を行うこととなっています。このことから、11月までには奥津軽いまべつ・新函館北斗間の新幹線用レールが締結されることが想定されます。

また、5月26日に開催された北海道新幹線建設促進期成会の総会では、JR北海道役員が新幹線開業準備状況について報告を行い、それによると新青森・新函館間は営業中の路線を対象に電圧や信号設備を切り替えて行い、かつ貨物列車とのすれちがい試験や冬季性能に関する試験も行うため、新幹線開業時の一般的なケースと比べて倍以上の時間を要し、試験開始から終了まで17か月を見込んでいるとの説明がありました。今年10月を試験開始とした場合に試験終了は平成28年2月の予定となり、平成28年3月の開業はほぼ既定路線と見ることもできますが、同社からの開業時期の公式発表はしばらく先の見込みです。

(下表はH26.11現在、随時更新)

年月 内容 情報元
2014年4月 JR北海道H5系デザイン発表(4編成製造) JR北海道
2014年5月 24日、新幹線高架橋レールウォーク開催 北海道
2014年6月 新幹線駅名「新函館北斗」「奥津軽いまべつ」決定 JR北海道
2014年8月 北海道道南地域並行在来線準備株式会社設立 北海道
2014年10月 JR北海道H5系函館港に陸揚げ・車両基地陸送 報道
2014年10月 新幹線開業キックオフイベント開催 函館市
2014年11月 レール締結式(木古内駅)
2014年11月 北海道道南地域並行在来線準備株式会社社名募集締切
2014年12月 奥津軽いまべつ・新函館北斗間試運転開始 JR北海道
2015年3月 新幹線開業1年前イベント開催 函館市・北海道
2016年秋 新幹線列車名・運行体系・開業日公表
2016年3月末迄 北海道新幹線開業
JR函館・新函館間電化開業
木古内・五稜郭間第三セクター鉄道開業

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【質問】新幹線開業後の東京発新函館行きの最終便は何時くらいになりそうですか。

 

【お答え】新幹線の運行時刻については市民の関心がとても高いのですが、過去の新幹線開業事例では、JRが新幹線運行ダイヤを公表するのは開業約3か月前であり現時点での運行時刻は未定であることから、東京・新青森間の現在の運行ダイヤを新函館まで延長した場合どのようになるか想定してお答えいたします。

2014年3月改正ダイヤによる東京発新青森行きの夜間便(下表)は、東京発20:16→新青森着23:36が最終です。国交省試算では新青森・新函館間の所要時間は1時間1分であり、かつ新幹線は24時以降運転できないこととなっているため、新函館行き最終便はその前の2便「はやぶさ31号」か「はやぶさ33号」が想定されます。「はやぶさ33号」にあてはめると、東京発19:20→仙台発20:55→新函館着(想定)23:32となり、新函館・函館間アクセス列車の接続がある場合は24時前には現函館駅に辿り着けることとなります。

現在、東京羽田発函館行き最終の飛行機に搭乗する場合は、遅くとも東京駅を16:20頃に出て羽田空港に向かわなくてはならず、仮に「はやぶさ33号」が新函館行き最終便となった場合、東京都心の滞在時間は3時間増加して、ビジネスチャンス拡大に繋がります。

また、東北新幹線にはファーストクラスとして弁当提供やアルコール飲み放題の「グランクラス」座席があり、東京・新青森間では指定席料金に約1万円を追加すれば利用できます。こうしたサービスを利活用し、行きは飛行機でスピーディに東京へ、帰りはゆったり新幹線で、と利用手段の選択肢が広がれば、航空路線との共存など相乗効果が得られるようにもなります。

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