【質問】新幹線が開業したら経済効果が云々、といわれていますが、自分の商売には関係ないと思っていたり、どうすればいいかわからないという人のほうが多いような気がするのですが。
【お答え】ご指摘の件は、当所に事務局を置く「北海道新幹線開業はこだて活性化協議会」が行ったアンケート調査結果にも現れており、当地の経営者の約4割が新幹線開業に備えた経営強化策は必要ないとし、約6割が新幹線開業は自社の売上に影響しないと回答しています。これは、開業効果に関する情報が浸透していないことや当地の景気低迷、開業する7年先の見込みがたたないことなども要因とみられます。
経済効果に関しては、北洋銀行が行った試算によれば、新函館開業までの建設工事に関する経済波及効果は4,901億円としており、実際に現在までの建設費190億円から売上を得ている地元事業者も増えています。また野村総研の予測調査によれば、新函館開業時の経済波及効果はサービス業を主体に年361億円、道内関係で約120億円、年約4千人の雇用創出が見込まれています。4千人の雇用効果は、苫小牧に進出したトヨタ自動車北海道の規模に匹敵するものです。
新幹線が景気回復の特効薬になるかといえば、そうではありません。それは、街を人間の身体に例えて考えるとわかりやすいのですが、生活習慣病というものに特効薬が存在しないのと同じです。いまの函館は代謝(企業活動)が衰え、食欲(事業意欲)も落ち、生活習慣病によって循環器や足腰に持病を持ち(営業力・取引量の低下)、身体が元気に動いてくれない状態(不景気)、と見ることが出来ます。しかし人間は本来、いかにして健康で長生きするかという思考を持つものであり、街もそうであることが理想です。人間が適度な食事と運動で体質改善を図り長生きを目指すのと同じく、函館も新幹線という「サプリメント」の効用を得ながら、代謝(企業活動)を活性化させるための自発的な生活の見直し(経営強化)を行い、体質改善(景気回復)を図っていくことが必要です。