【質問】(前回に引き続き)先般、北陸新幹線では特急料金の認可申請があったとのことで、北海道新幹線がどうなるかも気になります。
【お答え】前回までは北陸新幹線の事例から、航空や他の新幹線区間との特急料金との比較など、長距離的な課題を紹介しました。今回は、近距離における料金面の課題について、青森を例に説明します。
青森・函館間は1908年の国鉄青函連絡船就航以来、本州と北海道の大動脈として、最盛期の1973年(昭和48)には499万人が利用しました。この頃からの同区間の運賃推移をみると(下表)翌1974年の片道運賃は500円で、その後インフレによる値上げ、国鉄民営化を経て1988年(昭和63)3月の連絡船最終運航時は同2,000円、同日開業の津軽海峡線は同2,800円でした。
1989年(平成元)以降は消費税導入等による値上げと、青函間の往復割引切符(自由席)販売が開始され、2002年(平成14)以降は往復5,500円でしたが、2013年(平成25)に弘前まで範囲拡大され往復6,800円となり、2014年(平成26)の消費税増税を経て、現在青森・函館間片道運賃は3,240円、「青森・弘前フリーきっぷ自由席往復用」は6,990円となっています。
2002年以降、青函トンネル区間には普通列車の運行がなく、青函間のJR移動には特急料金が必要です。特例として蟹田・木古内間では、前後を普通列車と乗り継いで利用する場合に限り特急列車に特急料金不要で乗車できますが、新幹線開業後もこの特例が存続されるかどうかと、特例に基づく「青春18きっぷ」の利用可否は現時点で不明です。また、現在の青函間特急には自由席がありますが、東京・新青森間を運行する新幹線には自由席がなく、北海道新幹線に自由席が設定されるかどうか、在来線と同じ時速140km/hの青函トンネル区間に新幹線用の特急料金が設定されるのか、本州方面との往復割引切符は存続されるのかなど、新幹線開業に関する料金面の課題が多く残されています。
北海道新幹線の特急料金は今年末に発表の見込みですが、それによって近距離利用の費用が増大し津軽海峡圏の経済交流促進の妨げとならぬよう、引き続き注視しながら関係先への要請等を進めて参ります。