【質問】先般、北陸新幹線では特急料金の認可申請があったとのことで、北海道新幹線がどうなるかも気になります。
【お答え】2015年3月14日に開業する北陸新幹線は、10月3日にJR東日本・西日本が国土交通省へ特急料金の認可申請を行っています。今回の申請で注目されるのは、両社の営業区域をまたぐ乗車の場合に、特急料金が距離通算されない算定方法となっている点です。
新幹線や在来線特急はこれまで、JRの会社境界をまたいで直通運転される便、例えば東海道・山陽新幹線(JR東海と西日本)などは、発地から着地までの特急料金は距離通算されていました。しかし2011年3月開業の九州新幹線(JR九州)は、直通する山陽新幹線(JR西日本)と距離通算しない方法となり、直通する旅客にとっては博多駅を境に割高な料金設定となりました。
【九州新幹線を含む区間とその他区間の特急料金比較】 新神戸(JR西)―鹿児島中央(JR九州) 874km 9,810円 東京(JR東海)―広島(JR西日本)※ 894km 6,900円 ※比較のためひかり号料金適用 差 2,910円 |
そして今回北陸新幹線で申請されている特急料金を他の新幹線区間と比較すると、やはり割高な設定となっていることがわかります。
【北陸新幹線を含む区間とその他区間の特急料金比較】 東京(JR東日本)―金沢(JR西日本) 450km 6,780円 東京(JR東日本)―一ノ関(JR東日本)445km 5,480円 浜松(JR東海)―岡山(JR西日本) 476km 5,060円 ※JR東日本は東京駅乗入加算210円を含む |
これらのことから、今後は北海道新幹線の特急料金がどうなるかに関心が集まります。現在、東北新幹線と津軽海峡線・函館本線特急を乗り継ぐ際は在来線特急料金に乗継割引が適用されますが、北海道新幹線は新青森駅がJR東日本とJR北海道の会社境界となり、九州や北陸のように距離通算が適用されない場合、現在の特急料金と比較して値上げ幅がとても高くなる懸念があります。また、在来線と同じ時速140km運行となる青函トンネル共用区間を含むため、新幹線特急料金の対価として妥当な設定がされるかどうかもポイントとなります。
九州や北陸のように、旧国鉄の分割民営化で生じた会社境界のために割高に設定された料金によって利用者の負担が増えるのは、残念なことです。北陸では国交省運輸審議会が、初めて新幹線特急料金に関する公聴会を11月13日金沢市で開催予定であり、市民の声が認可決定にどう反映されるか、今後の動向が注目されます。