【質問】北海道新幹線開業後は観光客が増えて地域活性化になるなどと聞きますが、不景気ですし国内の人口減少や高齢化も進むし、そううまくいくとは思えません。
【お答え】ご指摘の通り、私たち市民が何もせずにいるのでは観光客など増えようもなく、まず第一に市民一人一人がおもてなしの心を高め、観光客に楽しんで頂けるまちづくりを進めることが最前提です。それを踏まえた上で、「提供座席数」という物理的な観点から新幹線開業後の観光動向を以下に検証してみます。
提供座席数とは、飛行機や列車の定員から算出される最大の輸送人数のことです。対首都圏で算定すると、現状では羽田―函館の飛行機が年間往復163万人※1、青森―函館の特急列車が年間往復262万人※2で、対本州・首都圏は合計425万人(片道213万人)であり、現状ではどんなに頑張っても年間213万人以上の観光客を連れてくることが出来ないということになります。
これが、新幹線が開業した場合はどうなるでしょうか。現在の八戸と同じ16往復が運行されると仮定した場合、新幹線の提供座席数は年間往復951万人※3、片道476万人にもなるのです。
具体例を挙げますと、JR東日本ではシニア会員向けに、同管内と函館等が3日間乗り放題の「大人の休日倶楽部会員パス」を年4回発売しており、適用期間中は青函間の特急列車指定席が連日満席となって、函館行きを断念せざるを得ないお客様が多数生じます。新幹線が開業して提供座席数が拡大されると機会損失を防ぐこととなり、多くのお客様をお迎え出来るようになります。このように物理的観点では、新幹線開業は確実に観光客を増やす土台となりうるのです。
函館は2009年、魅力ある市町村の第一位となりました。潜在的な観光需要を掘り起こしていくうえでも、新幹線開業は大きな可能性を持っていると言えます。
※1 函館市まとめ、H20年実績 ※2 夜行除く特急の標準編成(6両)定員から算出 ※3 標準編成(10両)定員から算出
(写真)2009年9月6日付函館新聞 「大人の休日倶楽部」適用期間は青森・八戸方面の大半が満席