【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館市内の二次交通がどうなるのか、JRが整備するアクセス列車についても、運行ダイヤは直前まで非公表とのことですから、いっそのことリムジンバスを充実化したら如何でしょうか。
【お答え】前回までは新函館駅と函館市内の二次交通の充実化のためバス・乗合タクシー等の利活用について触れましたが、今回は道南地域として捉えた場合のポイントをご紹介します。
函館市エリアと異なり、道南のその他エリアは人口も少なく、JR函館本線の沿線以外では、地域間を結ぶ公共交通の便数は少ない状況です。加えて、それら公共交通の大半が生活路線として位置づけられているため、駅など交通拠点における他交通機関との接続が最優先されている状況ではなく、接続案内などもまだ不十分な面が多くあります。例えば新幹線開業後に江差や奥尻島への周遊観光ルートを売り込もうとした際には、新幹線から木古内・江差間の路線バスを経て江差・奥尻間のフェリーが1つの路線として繋がっているように見せていくことが求められますが、現状は、季節によって都度変更されるフェリー運航時刻と路線バスの運行時刻が接続対応しておらず、接続待ち時間が長く生じるものとなっています。
九州新幹線の開業地域では、様々な交通機関が連携して1つの観光ルートを構築し課題解決を果たしたケースがあります。例えば熊本・三角港と天草・本渡港を結ぶフェリーは九州新幹線開業に合わせ「天草宝島ライン」と称し「天草と九州各地を船とJRで結ぶ新しい公共交通」というキャッチフレーズを用いて、JRの新幹線・特急列車と完全接続したダイヤを構築し、自社のwebサイトではJR運行時刻も含めた案内を行っています。こうした取り組みは各地に波及し、南天草と鹿児島県を結ぶフェリー会社では、九州新幹線開業を契機に、自社フェリーの鹿児島側拠点である蔵之元港と新幹線出水駅とを結ぶシャトルバスを地元バス会社と連携して運行、自社のwebサイトでも接続ダイヤを掲載してPRし、ルート創出と定着化に努めています。道南地域においても、新幹線開業に向けて交通事業者間の更なる連携と情報発信が求められます。
(参考URL)
天草宝島ライン http://www.seacruise.jp/teiki/
三和フェリー http://www.ezax.co.jp/
(写真)自社のwebサイトで接続交通機関の時刻案内を行うフェリー会社