【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館市内の二次交通がどうなるのか、JRが整備するアクセス列車についても、運行ダイヤは直前まで非公表とのことですから、いっそのことリムジンバスを充実化したら如何でしょうか。
【お答え】前回は、新幹線駅と市街地を結ぶシャトルバス・路線バスの事例から、運行継続のために求められる要点について触れましたが、地域によってはバス事業が成立しづらいケースも見られ、その場合どのように利用者利便を維持確保しているのか、代替輸送サービスについて東北新幹線沿線の取り組み事例をご紹介します。
青森県むつ市(人口約6万人)は、新幹線の最寄り駅である七戸十和田駅と約80km離れており、同駅が在来線鉄道と接続しない駅であることから、バスかタクシーによるアクセスが求められました。平成22年12月の同駅開業を機に、地元の乗合バス会社がむつ市内と同駅を結ぶシャトルバスを1日2往復運行しましたが、利用低迷により僅か1年で廃止となってしまいました。そこで、バス路線を引き継ぐ形で地元タクシー会社が同区間の乗合タクシー運行に参入、現在も1日6.5往復が運行されています。
同じ七戸十和田駅では、約14km離れた十和田市(人口約6.5万人)中心部との間に路線バスの運行が開始されましたが、バスの営業時間が短く、早朝出発や深夜到着の新幹線利用者はバスに乗り継げないという問題が事前に指摘され、路線バスを補完する目的で早朝・深夜運行の乗合タクシーが運行を開始しました。現在は早朝便が廃止され、同駅発の深夜便2便が運行されています。また八戸駅でも、路線バス営業終了後に東京から到着する最終便に接続し、約6km離れた中心市街地へ向かう乗合タクシーが運行されています。
乗合タクシーの運行には国交省の認可が必要で、代替交通機関がないことや地元自治体における公共交通協議組織の承認などが要件となっており、タクシー事業者単体の意思で実施できるものではありません。新函館開業に向けて乗合タクシー運行を実現させるためにはまず地元協議の早期着手が必要です。また、運行実現後においても、利用しやすさ(予約の要・不要)や広報周知が課題となり、地元住民の認知向上はもちろんのこと、観光客・来街者への周知をどのように行っていくか、例えばインターネットの乗換検索サービスでは、路線バス時刻は表示されても乗合タクシー情報までは網羅されていないため、旅行業者や宿泊施設を通した広報周知など、利用者利便維持のための継続的な取り組みが求められます。
(参考)七戸十和田駅・八戸駅での深夜接続乗合タクシー
下北方面・・・(尻屋観光シャトル便)
http://www.shirikan.jp/cabsyatoru.html
七戸町・十和田市方面・・・「夜ぷらす」
http://www.town.shichinohe.lg.jp/sightseeing/item.asp?g=9&c=295&i=11600
八戸市中心部方面・・・「シンタクン」
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/9,37208,73,239,html