【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。
【お答え】前回に引き続き、新幹線に接続する在来線リレー列車の運行事例として、今回は山陽新幹線新山口駅に接続するリレー列車について記載します。
山口県中部に位置する新山口駅(山口市)は、元は小郡駅(旧小郡町)といい、2003年に新幹線のぞみ号の停車駅になるのと同時に改称され、それを機に海岸側に約27km離れた宇部線(沿線人口18万人)の宇部新川駅(宇部市)を結ぶ快速「のぞみリレー」が3往復、内陸側に約13km離れた山口線(沿線人口14万人)の山口駅(山口市)には快速「やまぐちライナー」が6往復、それぞれ運行を開始しました。
2つのリレー列車は新山口駅とのアクセス需要の掘り起こしを目指し運行されていましたが、わずか6年後の2009年には「やまぐちライナー」「のぞみリレー」ともに快速列車としては廃止され、各駅停車に格下げされました。これらの運行体制縮小の背景には、「やまぐちライナー」については運行距離が短く利用が低迷したこと、「のぞみリレー」については他の路線(山陽本線)や交通機関(宇部市営特急バス)との競合がみられたことなどが指摘されているほか、快速運転を廃止した理由として「単線区間での快速運行はすれ違う側の列車の待ち時間が多く、他の列車の所要時間に影響する」(2008.12.26山口新聞web記事)ことなども挙げられています。
前回・今回の事例とも、沿線人口や交通環境、都市の性格など新函館・現函館間の状況とは大きく異なりますが、リレー列車の運行という点で明確なのは、拠点間の速達性と途中駅利用者の利便性の両立が重要ということです。商工会議所に事務局を置く新幹線開業対策機構と沿線自治体では昨年と今年、札幌圏で運行されている列車の実績に順じて新函館・現函館間を20分以内で運行できるリレー列車の整備をJR北海道に要望しており、その実現が期待されているところです。