【質問】函館ではJR経営継続署名活動の呼びかけが盛んですが、並行在来線とはそもそも何なのか、どうやって決めるのか、よくわかりません。
【お答え】並行在来線の定義は法律等に規定されたものはなく、平成8年5月の政府与党ヒアリング時における旧運輸省見解(コメント)しか公式なものは存在しません。それによれば「新幹線の開業により特急列車が新幹線に移る線」(特急列車の収益が新幹線に移転することで損益が悪化する路線)をさすのですが、問題なのは、指針がこれしかないために、立場によって都合良く解釈できてしまい、その結果、並行在来線の対象区間とは事実上JRの判断により指定されるものとなっていることです。
しかしながら、並行在来線の対象区間がイコール経営分離区間かといえば、そうではありません。経営分離区間の決め方については、平成8年の政府与党合意書に「沿線地方公共団体及びJRの同意を得て確定する」と規定されています。つまり現時点では、JRが並行在来線の表明はしたけれども、函館市が新函館・現函館間については並行在来線と認めておらず、双方の同意が得られていない状態にあるといえます。
函館市は、この問題が惹起して以降一貫して、新函館・現函館間は新幹線が走るわけでもなく、地図上も新幹線と並行していないことから並行在来線にあたらない、という見解を主張しています。
この見解を客観的に検証するため、全国幹線旅客純流動調査を基に、現在の鉄道旅客流動実態から札幌延伸後の新函館・現函館間の流動見込を示したものが下図ですが、これをみても、同区間が「特急列車の旅客が新幹線に移り、収益性が悪化する」という並行在来線の定義にあてはまらないことは明白です。
これらのことからも、同区間はそもそも並行在来線ではないという前提を崩さず、地域一丸となって引き続きJRによる経営継続を求めてまいります。