北海道新幹線2016.3新函館北斗開業ウェブサイト

函館商工会議所が所管する新幹線推進団体の活動アーカイブです

【質問】北海道新幹線は赤字経営が強調され、特急料金も高く、速度は遅く、便数は少なく、乗車率は低く、駅も遠く、「開業する」という以外は落胆させられることばかりで、前向きになれる材料はどこかにないでしょうか。

 

【お答え】北海道新幹線は年48億の赤字だと公表したJR北海道は、全国の新幹線のなかで最も割高な特急料金を国土交通省に申請、12月24日付で認可されました。認可にあたっては国交省運輸審議会の委員が、同社の収支資料にJR貨物からの線路使用料が収入計上されていないことに触れ、『「貨物共用走行に係る固有コスト」6.6億円に関しては、少なくてもその一部はJR貨物が負担してしかるべき費用』だと指摘するなど、赤字負担が旅客のみに強いられていることを問題視しており、関係機関の今後の対応が注視されています。このように不透明な要素が多い北海道新幹線ですが、開業後は新幹線運行による増収や在来線の経営分離等で、これまで新幹線がなかった場合と比べれば多少の収支改善が図られることとなっています。

開業区間の想定乗車率については、JR北海道が答えた乗客数1日約5千人を、運行便数26便の座席定員1万9千席で割った約26%(1便あたり約190人)と報じられ、その低さが指摘されていますが、これは東北・北海道新幹線が、首都圏から遠ざかるにつれて人口が減る「需要先細り型」路線であることが要因です。JR東日本等が公表している「平均通過人員」(H25)を見ると、福島・仙台間の新幹線利用者は青函トンネル区間の16倍で、平均通過人員を運行便数で割り、全便をH5系(定員731人)で運行させたと仮定した場合の乗車率は、福島・仙台間54.4%(397人)、八戸・新青森間33.7%(246人)、中小国・木古内間23.3%(170人)となります。仮に福島・仙台間が満員の731人だとして計算すると、中小国・木古内間は42.9%(314人)となります。すなわち青函区間が40%を超える乗車率のとき、大宮=仙台=盛岡区間では100%に達して指定券が購入しにくい事態となり、乗車機会の損失が生じると予想されます。

このように、仙台以南の混雑区間を含む乗車機会を損失させないことも背景の一つとして、商工会議所などでつくる新幹線開業対策推進機構では2008年策定のアクションプランにおいても新幹線の毎時1本程度の運行(東京便14往復程度)を求めており、開業後も引き続き動向を注視しながら関係機関と連携し要請活動等に取り組んでまいります。

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