【質問】青森と函館の商工会議所が合同でJR北海道に北海道新幹線の割引切符等販売の要望活動を行ったとのことですが、私も発表された料金は高いと感じていたので、今後の割引切符の動向を注視したいと思っています。
【お答え】青森・函館商工会議所連名による合同要望は青函ツインシティ提携以降初めて実施されたもので、10月13日にJR北海道が国交省に申請した特急料金に関する双方の役員等の声の高まりを踏まえ、去る10月28日JR北海道に対し利用しやすい多様な割引切符・商品等の販売について要請を行いました。
現在の青森・函館間の在来線特急指定席料金2,250円に対し、JR北海道が申請した新青森・新函館北斗間148.8kmの新幹線特急料金は4,450円で、2,200円増となっています。この特急料金4,450円は、運行距離がほぼ倍の東海道新幹線東京・豊橋間293.6km3,860円、上越新幹線東京・燕三条間293.8km4,200円よりも高く、東北新幹線と比べると約5割増しの水準で申請されています。東海道・山陽、東北新幹線ではかつて、高速化と時間短縮が図られた際に付加価値分が値上げされたことがありますが、北海道新幹線のうち82km(全体の約55%)は、開業後も在来線特急と同じ140km/hで走行し、時間短縮は図られていません。
JR北海道の特急料金申請時の報道発表資料では、お得な切符の設定例も示されましたが、この切符は「早期申込・列車・席数・インターネット予約限定で発売を検討」と注記されています。現在JR東日本が実施している同種サービス「モバイルSuica特急券」や「えきねっとトクだ値」のケースでは、割引設定は新幹線区間のみであり、青森・函館間で利用する場合は、在来線部分の運賃は新幹線とは通算されず、「青森・新青森運賃190円」「新函館北斗・函館間運賃360円」計550円(往復1,100円)が別途必要になり、さらに在来線切符を2回購入する手間が生じると想定されますが、北海道新幹線がどうなるかはまだJRから案内はありません。
こうした新規サービスは、利用条件にあてはまる人にとってはメリットとなりますが、例えばクレジットカードを持たない学生等はインターネット割引サービスを利用することができないなど、どんな方々にとっても使い勝手が良い従来の紙の切符や旅行商品の維持・新設は、北海道新幹線の利用増進において重要な意味を持っています。特に、新幹線と航空各社との価格・サービス競争が見込まれる首都圏とは異なり、青森・函館間は他に選択できる交通手段がフェリーしかない(在来線や高速バスがない)ため競争原理が作用しにくく、旅客流動の活性化にはJRの理解と協力が不可欠な特別な地域です。新幹線の利用増進に繋がる津軽海峡エリアのビジネスマッチングや販路拡大施策に取り組んでいる青森・函館商工会議所としても、引き続き動向を注視しながら両地域の関係機関と連携し要請活動等に取り組んでまいります。