【質問】(前回に引き続き)新函館駅と函館駅の間に必要なリレー列車の運行上の課題は何かありますか。
【お答え】前回は、新幹線を運行する事業者がリレー列車を一体的に運行することが最も望ましいとしましたが、このことを示す具体例を2つ紹介します。
まず青森県三沢市のケースです。三沢市は盛岡・青森間沿線においては八戸市に次ぐ人口4万2千人の都市で、三沢駅は八戸駅から21km北に位置しており、12月の東北新幹線新青森開業では、JRから第三セクターの青い森鉄道に経営分離されました。これにより八戸駅での新幹線との接続利便が悪化、東京や仙台での滞在可能時間が大幅に短くなったうえに(下表参照)八戸駅乗換改札口も廃止されて乗換移動距離と時間も増え、切符を買い直す手間なども生じるようになりました。この問題は地元市議会でも問題になり、三沢市として青い森鉄道へ改善要望する事態となりました。
続いて長野県小諸市のケースです。小諸市は軽井沢の西約22kmに位置する人口4万4千人の街で、平成9年の長野新幹線の開業によって、それまで特急が停車していた小諸駅は第三セクターのしなの鉄道に経営分離されました。その後平成20年のダイヤ改正で、新幹線と接続する軽井沢駅や上田駅での乗り継ぎが悪化、三沢市と同じく東京滞在時間も短くなったことから、小諸市など沿線市町・商工団体により「しなの鉄道活性化協議会」を設立、地元負担金と国の補助金による実証実験としてようやく12月のダイヤ改正から軽井沢駅での新幹線最終便の接続を復活させました。
このように、2次交通(在来線鉄道やバス・タクシー)の利便維持確保は、新幹線駅から18km離れた函館市において、整備新幹線が法律にうたう「国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資する」という目的を達成させるためにも、何より重要なことといえるのです。